エーリッヒ・フロムに名著、「愛するということ」があります。しかしながら難解であることでも有名です。そこで、フロムに学ぶ愛するための心理学は、それを現代に置き換え、かつわかりやすく「愛するということ」を解説した本です。そこで要点を3つにまとめました。
- 愛とは何か
- 孤独になった人はどうなるのか?
- 本当の愛に至るにはどうすればいいのか?
愛とは何か?
本当の愛とは、いつか冷めるものではありません。この人を最初は愛していたけれども、いつの間にか愛せなくなってしまったというよくある恋愛の話を映画、ドラマ等で聞きますが、それは本当の愛ではない。ということです。愛とは存在状態であり、対象ではないのです。本当の愛とは見返りを求めることなく与えることです。そしてその状態になるためには人として成熟しなければなりません。だからこそ多くの人が到達できない場所なのです。愛は技術であり、簡単に身につくものではないのです。
見返りを求めないという考えは資本主義社会にはない考えなので、現代ではますます難しい状態と推察できます。
孤独になった人はどうなるのか?
人は孤独を紛らわすために、あらゆることをしてごまかします。
①祝祭的興奮状態:スポーツ観戦、民族的祭りでの集団の興奮状態を経験することです。
②集団への同調:流行にただ合わせる、みんなと同じことをして安心することです。
③創造的活動:働く。ここでの働くとは工場での組み立て作業といった創造性のない活動を指します
こういった行動をとっても本当の精神的自立(愛するという状態)を見出すことはできません。
本当の愛に至るにはどうすればいいのか?
まず、自分を愛していなければ人を愛することは不可能です。ないものは人に渡せないということですね。私たちは自己中心的な人をさぞかし自分のことが大好きなんだろうと考えるところがありますが、それは事実ではありません。利己主義と自己愛は真逆のものなのです。また、子供を所有物のように扱う親も子供のためと声高に言ってはいますが、本当は自分だけがかわいいというナルシズムも潜んでいることがあります。
本物の愛に至るには以下の能力を高めることが必要です。
①配慮:相手の気持ちを気遣えること
②責任:相手の要求に応じ、その関係を続けていく覚悟
③尊重:相手を一人の人間としてありのままを認める
④理解:相手を知ることで自分を知る
簡単なようでいて、それを実際にできる人はどれだけいるでしょうか?